未来の体育共創サミット2021に佐藤彩弥氏が登壇くださり、「こんなこといいな、できたらいいな、中学校の保健体育の世界」というテーマでセッションが行われました。以下、講師をしてくださった佐藤氏によるレポートです。
こんなこといいな、できたらいいな、中学校保健体育の世界
佐藤彩弥(埼玉県所沢市立三ケ島中学校教諭)
セッションの概要
本セッションは、一中学校保健体育科教員が日頃感じているモヤモヤ…を話すことから問題提起を行い、参加者の皆さんと対話を行なった。
グループでの対話→全体での共有→グループ対話→全体共有という形で話し合いを深めていった。
参加者との話し合いの概要
・集団行動の是非
→「教材」としてやれば意味のあるものでは。解放された体↔︎規律ある体
思考停止になっていることがよくない。
・管理的教育に体育が使われていること
→体育は教科として見られていないからではないか?
「学問として」をまずは保体科教員から!
・どうやって周りの人を巻き込んでいくか?
→「なんのために」の共有
→自分の実践による「生徒の楽しそうな姿」→波及していく
→なぜ「人を変えよう」とするのか?
→この指とまれ!で周りが巻き込まれていくように。
まずは自分から動いていく!
・いかにいろんな人とうまく付き合っていくか≒巻き込んでいくか
→コミュニケーションが大切
→「対話」が必要、時に衝突も…
〇いろんな人がいていい!自分に合ったやり方を模索していく。
仲間は学内だけである必要はない。
・「発信」し続ける→人と繋がっていく
参加者アンケート
・実践をお聞きして勇気が出た。ぐずぐず文句を言っていないで、自分が変わらないといけないと思った。
・さまざまな先生方と対話の時間があり、情報共有ができた。強いて言えば、もう少しグループ対話の時間が欲しかった。
・自分から行動を起こさないと何も変わらないという言葉が印象に残った。
・自分が現場で具体的に何をしていけば良いか考える機会になった。学び+ディスカッションという形が大変刺激になった。
・体育科教師の学校の職務における切実性が伝わる内容だった。管理職としてこれからのチームの方向性を考える上でも、様々なヒントをもらう画期的な時間となった。
筆者の感想
大変貴重な学びの場をいただきました。参加者の皆様、運営スタッフの皆様に心から感謝しております。
私は保体科教員になり14年が経ちました。日々の実践を行う中で、悩んだり試行錯誤したりしていることをこうした公の場で曝け出し、皆さんと対話をすることは勇気のいることでした。が、思い切ってやってみたことで、目の前のモヤモヤをもっと広い視野、違った視点で見ることができるようになりました。
私が特に印象に残った言葉は「自分がまず変わること」「発信の大切さ」「仲間を学校の外にも持つこと」でした。これらは連動していて、自ら動き出し、発信することで、仲間が広がったり深まったりしていけると感じました。
教員を志し、懸命に生徒のために・・・と働いている人たちは皆、一生懸命に職務にあたっているはずです。ですが、一生懸命になっているからこそ、視野が狭まり深みにはまっていることもあるのではないでしょうか。私自身、そうでした。それを打破するためにも、この「未来の体育共創サミット」で出会った方々との繋がりを大切にし、意識して世界を広げながら学び続けていく大切さを実感しました。
セッションの翌日からも、理想と現実のギャップに苦しむ日々です…が、不満ばかり語らず、まずは自分が変わる、できることからひとつずつちょっとずつ変化を起こしていく、と言い聞かせながらやっています。そんな力を与えていただいた本セッションに、改めて感謝を致します。
(佐藤彩弥)
セッション紹介
セッション名
こんなこといいな、できたらいいな、中学校の保健体育の世界
セッション内容
中学校の保健体育の授業、を中心に、今そしてこれからを語るセッションです。新学習指導要領施行まで待ったなしの今、どんなチャレンジをしていますか?それに対する周り(学校、中体連、これまでの「体育」に対する固定観念を持つ方々…)の反応はいかがですか?変わっていくためには、何を大切にして、どんな策を練っていけばいいのだろう…?? 日々、悩んでいる提案者と共に、現状の悩みを共有しつつ、変革のための前向きな策を練っていける対話をしていきたいです。また、「中学校体育授業を受けている方/受けていた方」の率直なご意見もお待ちしています。またまた、提案者の「キャリアのこれから」の相談に乗ってくださる方もお待ちしています。
講師
佐藤彩弥氏 埼玉県所沢市立三ケ島中学校教諭
小学校・中学校は一番苦手な教科が体育でした。【学校の母】としてお世話になった恩師への間接的な恩返しがしたい、また、「体育嫌いだった子どもの視点」を持つ体育教師になりたい、とこの仕事を志しました。体育・スポーツの奥深さ、面白さ、広がりを中学生が味わえる授業を行いたい、と日々思っています。が、「体育は生徒指導の場」という旧来の価値観が求める教科の役割とも闘っています。かつては陸上部の指導に燃えましたが、2人の男子の母となり、サッカークラブチームの送迎と部活動指導は、分身の術ができないと無理だと感じています。