学校でパルクール

〇セッション概要

 日本を代表するパルクール実践者、ムーブメントコーチ。パルクールや身体操作の知識を活かして運動指導をしていらっしゃる鈴木正信さんにから、パルクールの歴史や哲学、技術体系などをお話ししていただき、後半は自由学園初等部体育教員の森井宏之先生から6年間体育にパルクールを取り入れ実践してきた様子をお話ししていただきました。

〇参加者の声(事後アンケート・セッション中の発言より)

・パルクールの奥深いところを知れた気がしています。特に、どんな人でも取り組めるようにというところは、パルクールの新しい一面を知れたなと思います。
・パルクールの歴史から実践例まで聞けてとても参考になりました。自分の学校でも取り入れてみたいと思いました。
・パルクールを取り入れた授業作りに挑戦したいと考えていましたが、パルクールの背景やその哲学を知る事で、更に関心が深まりました。

〇セッションを終えて

 SNSの動画などでパルクールの様子を見る機会が増え、そのかっこよさやアクロバットな迫力などはとても魅力的なものだと感じている人も多くいると思います。またストリートで行っているものも多く、ストリートカルチャーだと思っている方も多いかと思いますが、お話を伺うと元々はフランス軍のトレーニングとして発案されたものであり、「怪我をしない体づくり」のトレーニングで、鍛錬、試行錯誤、挑戦、我慢強さなどが求められており、むしろ武道的な要素があることを新しく知ることができました。
また自分の体をよく理解することから始まる身体のリテラシーを高めるというお話は、まさに体育で育てるべき能力なのではないかと思わされました。
 後半の自由学園での実践は体育館の用具を使いながらパルクールを行なっている様子が見られ、参加者の皆さんもどのような場の設定をすると良いのかなど、具体的なところまで知ることができたと思います。また、できないと思ったらチャレンジしない、というようなパルクールの哲学に倣った約束事などは、パルクールの学びであると同時に誰でも自分に合わせたチャレンジができるという、子どもの心理的安全・安心を担保しているように感じ、「パルクール」という授業でなくても、器械運動領域の授業でも取り入れられるのではないかと感じました。
(酒本絵梨子)

〇セッション紹介

学校でパルクール

跳び箱や鉄棒などを用いた器械運動の授業は、技の獲得が主眼におかれやすい。そのような取り組みになると、「できない」ことにフォーカスされやすく、できない子どもは苦手意識を持ちやすい授業でもある。
同じように固定施設を使いながら走る、跳ぶ、登ると言った移動運動を行う「パルクール」がある。パルクールは「能力を超えたチャレンジはしない」という考え方のベースがあるそうだ。
このパルクールのベースがこれまでの器械運動領域における苦手意識や生涯スポーツへの繋がりなどに対して一石を投じてくれるのではないだろうか。
日本を代表するムーブメントコーチでパルクールパフォーマーの鈴木正信さんからパルクールの精神や歴史などを伺い、さらにパルクールを授業で取り組んでいる実践を紹介したい。

鈴木正信氏(日本パルクール協会理事、合同会社 Motus Works 代表、日本ムーブメント協会特別顧問)
森井宏之氏(自由学園初等部体育教師)