「オンラインを活用して世界を創り出す体育授業」〜表現運動〜

 未来の体育を構想するオンライン研究会において、「体育ICT研究会」の取組を発表した。体育ICT研究会では、日本とマカオ、東京都北海道のように、国内から国外までをつなぎ、学校間をつなぐオンライン体育に取り組んできた。コロナの影響により、学校が休校状態となったことからオンデマンド型の一方向型の体育が増えてきている。しかし、身体を動かせば体育の学びが成立するわけではないと本研究会は考え、オンラインによる同時双方向型の学びを実践しようと考えた。今回は表現運動に着目し、「仕方がなくオンラインで」ではなく、「オンラインだからできる」表現運動を目指し、授業をデザインした。

 全3時間の実践の中で、日本各地から集まった子どもたちは、オンライン会議システムZoomを活用して表現運動に取り組んだ。授業の構成はアイスブレイクからの創作活動とした。心と身体をアイスブレイクでほぐし、テーマである「ジャングル探検」の音楽を聴いて、チームでイメージしたことを共有しながら作品を創り上げていった。最初は初めて会うグループメンバーに上手くコミュニケーションを取れていなかった子どもたちが、回を重ねるごとに上手にコミュニケーションを取りながら、自然と主体的に創作に取り組むようになってきた。驚くべきは創作した作品の内容である。子どもたちは画面の構造を上手に使い、バナナを投げ渡したり、画面からフェードアウト、フェードインを繰り返したりしながら、空間を超え、同じ時を身体を使って共有していた。お互いの物理的な距離を超え、オンラインで同じ時間に同じ運動を楽しむ子どもたちの姿はとても楽しそうで充実したものであったことは、学習カードの振り返りから分析できる。

 未来の体育を構想するオンライン研究会に参加してくださった方々からも、「子どもたちが前のめりに活動しているのがよくわかる」「主体的に活動している子どもたちが楽しそう」「オンラインだからこそできる表現運動だ」等、肯定的な意見を多く頂きました。

 今回は発表の機会をいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。ご質問等は「体育ICT研究会」までお寄せください。

発表者 ○石井幸司(東京都江戸川区立新田小学校)○和氣拓巳(狭山市立柏原小学校)○村上雅之(北海道札幌市立北九条小学校)