体育授業のマインドセット〜体育の苦手な先生も子どもも楽しめる体育授業にするために~白根稔彦氏―レポート

〇セッション概要
【セッションの目的】
体育のマインドセットを言葉にすること。参加者の皆さんにマインドセットを考えて欲しい。
【なぜマインドセットなのか?】
マインドセット=物事の捉え方、前提
「ノウハウセールス」と「ノウハウジリ貧」、「ノウハウコレクター」と「言った言わないの人」
どうしたら良いのか?どのような方法があるのか?を学ぶ→実際にやってみて、うまくいったりいかなかったり→うまくいかないことが出てくる→どうしたら良いのか?どのような方法があるのかを学ぶ→・・・を繰り返すことは苦しいと考えます。

ノウハウとかそういうことじゃないのではないのではないか?前提条件のない方法ってどこにいくの?
⇒そもそも何なのか?何をさせたいのか?という前提の部分を考えることで状況が変わるようだ。

マインドセットを捉え直すことで、豊かに、楽しく、体育・スポーツの指導に当たってほしい!!
だから苦手な先生・子どもたちに向けたマインドセットにこだわっています。

【体育とはなにか?体育が目指すことは何か?】
言葉にして定義することが大事。ブレないから。
「体育・スポーツ・運動」どう違うの?
体育とは、「身体・身体活動全般に関する教育」
※これはあくまでも白根さんの捉え方であって、各々が各々の言葉にすることが大切。

学習指導要領「生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力」
どうしてそんな資質・能力が必要なの?
現在の日本の健康課題:生活習慣病の増加⇒「長生き」の選択肢を!
現在の日本の健康課題:平均寿命と健康寿命の差⇒人生の終わりまで豊かに
動かなくてもいいけどあえて動く社会へ

学習指導要領に示されている資質・能力を、年齢・性別・能力などさまざまな違いがある集団(例えば家族)がみんなで楽しく身体を動かせる資質能力と捉えています。
そのように捉えると、今やっている授業の場の設定は変えなくとも、習熟度別に分かれて学ぶのではなく、共に活動し学び合うという様子に変わっていくと考えます。また、授業で扱うゲームについても、技能の高さを競うゲーム(=みんなが楽しめないゲーム)から技能等に応じて体を動かすゲーム(=みんなが楽しめるゲーム)になります。
【最後に】
他人と過去は変えられないと考えます。そのため、体現し続けること・対立しないことが重要です。

〇参加者の声(事後アンケート・セッション中の発言より)
・体育はスポーツとは違うモノ、ということを、良い意味で捉え直すことができました。知らず知らずのうちに自分の中で、「体育は教育であってスポーツではない」という、なにやら「体育」に含まれるネガティブな要素(裏返しますと、スポーツに含まれるポジティブな要素)を勝手にイメージしていたようです。
・体育の現状を今回たくさん語れて自分がよみがえってきた感じです。どうしてもまわりに合わせてしまうのでやっぱり自分のやりたいことはこういうことだな、って思いました。
・高校や大学の先生や大学院生など、様々な立場の話を伺うことができて、とても楽しく参加をさせていただきました。また、皆さんが体育について真剣に考えていることがわかり、小学校の現場で働く私も、希望が持て、明るい気持ちになりました。

〇セッションを終えて
どの部分も本当にその通りだなと感じるお話でした。
日々、授業を行っていく上では、どうしても「どんな方法でやるか」に目が向きがちで、その結果、苦しくなる。とてもよくわかります。
「そもそも・・・」と、前提の部分から考えることの重要性を感じていますし、自分自身のこととしては実践してきました。一方で、職場の同僚とそこまでの話をすることはなかなかできていなかったなぁと改めて感じました。
そこまで踏み込んで話せる仲間がオンライン上にいることのありがたさを感じつつ、日々一緒に働いている同僚とも前提の部分について対話していこうと思いました。
ブレイクアウトルームでの対話のあと、とても楽しそうに「自分が話すよりもっと皆さんと話したい」と笑顔でおっしゃる白根さんの姿は、こんな風に職場の方とも対話していけたらいいなと思える姿をまさに体現していたように感じます。(松下祐樹)

〇セッション紹介
体育授業のマインドセット〜体育の苦手な先生も子どもも楽しめる体育授業にするために~

学習指導要領に照らし合わせて、生涯にわたって豊かなスポーツライフを育む資質能力を育てるとはどんなことなのか、現場でどうしたらいいのかを、体育の苦手な先生に向けて、わかりやすく説明します。

白根稔彦氏(高校保健体育教員)