「ビデオ会議から旅へ -豊かなスポーツライフは大人から-」レポートー嶋田美和氏(諫早市教育委員会)山岸秀敏氏(稚内地方柔道連盟)酒井重義氏(NPO法人judo3.0)

〇セッション概要
NPO法人judo3.0は、柔道を通じた国際交流や発達障害のある子供への指導法の研修を行うなど、スポーツによるコミュニケーションやコミュニティ作りに取り組んでいます。コロナ禍で活動が制限されたとき、オンライン上の勉強会を始めました。様々なテーマで週に1回以上開催しており、柔道の指導者が多いですが、日本各地から様々な方々が参加します。この取り組みを始めたことによって「オフ会」も始まったりしました。当日はこのオンライン上の勉強会に参加した2名の指導者に報告いただきました。

山岸秀敏氏より
北海道の稚内に住んでおり、少年団を指導したり、自分自身でも運動をしています。柔道をはじめとして、様々なスポーツで体を動かすことが好きで、アームレスリングやストレッチにも参加しています。以前は、北海道の外にあまり出ることがなかったのですが、2016年に日本ベテランズ柔道大会に参加し、和歌山や愛媛、福井などにも行きました。しかし、大会で参加しても県外に多くの知り合いができたわけではなく、北海道出身の方々と一緒に行動することが多かったです。
 コロナ禍で外出ができなくなったとき、judo3.0のオンライン上の勉強会に参加して、日本各地や海外の方々と出会うことができました。私は兵庫県でのオフ会を企画して、全国から集まったオンライン勉強会で話していた方々とリアルで会うことができ、練習をしたり、楽しい時間を過ごしました。また、別のときには、長崎や熊本、鹿児島にいき、オンライン勉強会で会った人々と一緒に柔道をしたり食事をしたりしました。また、その後、東京で開催された日本ベテランズ柔道大会に参加したときに交流会を企画して、オンライン上でつながった関東の方々と交流することができました。
このように、オンライン上でのつながりができたことでとても楽しんでいます。

嶋田美和氏より
私は、当初judo3.0の活動を知っていましたが、勇気がなくて参加できませんでした。しかしオンラインに慣れてきて、ビデオ会議に参加したことで、柔道に対する考え方が変わったり、旅をしたりするようになりました。特に、私も以前は選手として活動していたので、競技としての柔道に専念していたのですが、後に生涯スポーツとして柔道を楽しんでいることに気づきました。ここで学んだことを、地域で活かしたいと思っています。
先日離島から相談があってイベントのお手伝いをしたり、オンライン上の勉強会で発表したり、ポルトガルと長崎との柔道交流を始めたりなど、現在は様々な活動しています。
スポーツを通じてお互いに支え合う、これがスポーツの素晴らしいさだと思います。オンラインやリアルのそれぞれの良さを活かして活動していけたらと思っています。

酒井重義
一緒に何かを学んだということには、関係性を深める効果があります。良く知られていることですが、オンラインを活用することで、その関係性の範囲や深さが大きく広がったと思います。オンラインには場所的制約がなく、何回でも開催できます。Judo3.0はコロナ禍前、リアルのイベントは年2回程度でしたが、いまは週1回以上です。
 山岸氏のお話は、全国的な大会に出場して全国の人々が集う機会があっても、必ずしも県外の人々と交流する機会があったわけではなく、オンライン上の勉強会に参加することで県外や海外の人々と知り合いになることができたことが特徴的だと思いました。また、嶋田氏のお話は、オンライン上の勉強会に参加することで、スポーツや柔道についての認識が変わり、ご自身が積極的に地元で活動を始めたことが印象的でした。
 これらは、オンライン上の勉強会によって各自がより豊かなスポーツライフを送るようになった事例ですが、このようにスポーツを楽しんでいる大人が周りに増えていったら、子供達もスポーツをもっと楽しむことができるようになるのではないでしょうか。ビデオ会議から旅へというタイトルでお話させていただきましたが、オンラインの活用によって豊かなスポーツライフが広がる一事例として参考になったら幸いです。

〇参加者の声(事後アンケート・セッション中の発言より)

参加者からどのようなテーマで勉強会が開催しているのかの質問をいただいたり、スポーツをそれぞれどのように楽しんでいるか、そしてどうやったらもっと楽しめるかなどについての参加者とゲストで話し合いが行われました。

〇セッションを終えて
参加者の皆様が考える、それぞれの豊かなスポーツライフについてお話を伺ったり、実際にオンラインを活用する際の課題を一緒に考えたりなど、有意義な話し合いをすることができました。

〇セッション紹介

ビデオ会議から旅へ -豊かなスポーツライフは大人から-

皆様の周りに「豊かなスポーツライフ」を送っている「大人」はどのぐらいいらっしゃいますか?このセッションでは、コロナ禍で普及したビデオ会議に注目して、オンラインで接した人がいるスポーツクラブを訪問して、一緒にスポーツをして旅先の美味いビールを飲む、という新しい楽しみ方を紹介します。大人が楽しんでいたら子供にも伝わると思います。登壇者は柔道での事例を話しますが、これをきっかけとして、ご参加者の皆様と豊かなスポーツライフについて話し合っていけたらと思います。

嶋田美和 氏諫早市教育委員会
山岸秀敏 氏稚内地方柔道連盟
酒井重義 氏NPO法人judo3.0