『ユニ育』という、スポーツクリエイティブ教育のすすめ-澤田智洋氏 青井純子氏 寺平依子氏-参加者レポート

2021年1月21日「未来の体育共創サミット2021」にて「『ユニ育』という、スポーツクリエイティブ教育の進め」のセッションを開催、澤田智洋氏(世界ゆるスポーツ協会)、青井純子氏(横浜市スポーツ協会・横浜ゆるスポーツ協会)、寺平依子氏(東京都立臨海青海特別支援学校)が登壇し、3名の講師より各団体の紹介から実際の実践報告を踏まえて、「ユニ育」が学校教育におすすめである点を話されました。当日は74名の皆様が参加しました。以下、参加者(水野 碧里)によるレポートです。

【澤田氏:世界ゆるスポーツ協会での実践】

出前授業の増加

最近、世界ゆるスポーツ協会に出前授業の依頼が全国レベルで増えてきている。その理由は、「スポーツを創る」ことにある。

〔スポーツをつくる授業の効果〕 

  • 社会課題を意識する。
  • 教科の横連携ができる。   
  • 能動的に問題解決にとりくめる   
  • スポーツを好きになる
  • 自分を好きになる 

上記の項目を盛り込むことが可能であり、特に5番目の「自分を好きになる」事が大きいと話す。スポーツ嫌いだった子が、自分が得意とするスポーツを創る事が出来、勝つことができるからだ。

〔実施の流れ〕
①学校の場合、パラリンピック選手を連れていき、生い立ちなどを話してもらう。 どんな動きが出来るかなど話し、この選手がチャンピョンになれるスポーツを考えてもらう。
②地域などで実施する場合は、どんな魅力がその地域にあるか発掘してもらう。地域や街を盛り上げるスポーツを作ってもらう。
※能動的にPDCAを回してもらえる。
※自分が勝てるスポーツがつくれることで自信が持てる。

【青井氏:横浜ゆるスポーツ協会・横浜市スポーツ協会での実践】

ゆるスポーツを使って子供たちに何かできないか?→授業をしてみよう

横浜の文化・歴史をスポーツと掛け合わせて開発した「トライ・トレイン」。 横浜発祥の『鉄道』×『ラグビー』から考えた、この競技を使ってスポーツを創る授業を実施。

〔授業の流れ〕
導入 ゆるスポーツを知る
体験 ゆるスポーツ『トライ・トレイン』を体感する

共創 スポーツを創る
発表 スポーツを説明する
※90分の授業で、考える時間は20分ほどで実施。

「子供たちだけで創れるもの?」「アイディアだせる?」「発表できる?」という教師側の疑問や、生徒側の「ゆるスポーツって何?」「体育の授業じゃないの?」「運動嫌いなんだけど…」という意見もあったが、ゆるスポーツを体感することで「これでもいいの?」「これもスポーツなの?」と変化。「ルールを工夫すればいい」「道具の使い方を工夫すればいい」と気づきが生まれた。

〔創る時のルール〕
・体育館にあるものは何を使ってもいい
・ボールを使う(トライトレインで使っていたので学校内の色んなボール・空気を抜いたボールなども含めた)
・走らない(強くボールを投げられない・勢いを付けられない為) の縛りをした。

※余裕あるグループには、「目が見えない人と一緒にやるには?」「耳が聞こえない人とやる場合はどうすれば良いと思う?」と声掛けした。
※先生たちがあまり近くにいないことで、自分たちで工夫し始める。

発表も手伝わず全部自分たちでやる。全部自分たちの力だけでやってもらう。というのが大事。体育が苦手な子が活躍したり、考えをまとめる力・発表の力があることに気づいたり、これまでの学習を発揮した場面もあったと先生たちの声あり。

〔授業後〕
オリジナルスポーツ創りが校内で継続して行われており、他の学年にも紹介するなど共創の輪が広がった。
※スポーツ共創はいきなり作れない事が多いが、「トライ・トレイン」を実施したのがウォ ームアップになった。

【寺平氏:知的障害特別支援学校での実践】

ゆるスポーツとの出会い・実践後の気づき

知的障害特別支援学校での「オリンピック・パラリンピック教育」に悩んだ際に、ゆるスポーツと出会う。「いたいっす」・「くつしたまいれ」の道具を借りて実施。

実践を通して、「何故子供たちが積極的に実施できたのか?」について、それぞれの競技を子供たちの特性(道具の色が目を引く・触感・勝敗が分からず、普段ゲームに負ける子にもチャンスがある・ルールがわかりやすいなど)を含めて分析した結果を話された。

学校間交流も対等で出来る競技として『くつしたまいれ』で実施

〔知的障害のある子供たちへの配慮〕
・スケジュールややり方を事前に伝える
・視覚的にわかりやすくする
・繰り返し取り組む

上記の配慮をすれば、学校間交流で知的障害がある子と一緒に競技しても、対等もしくは知的障害の子たちの方が特性を活かせて勝つ場面が生まれた。

特別支援学校にあふれる『ユニ育』教材・指導要領との関連

特別支援学校では、子供たちの特性に合わせ「スポーツを創る」事を随分前から実施していた。先生たちの実践を、競技名と指導要領のどこに当てはまって創られたのかを、写真と共に発表。「はねつっきん」や「あの鐘を鳴らすのはあなたです」「砲ガ~ンゲーム」など、子供たちの特性を活かして、キャッチ―な競技名と共に話された。印象的なのは先生たちが楽しみながら創っている事。

〔実施のポイント〕
・まずはマネからはいる
・専門外は専門家へ(外部専門家の活用)
・仲間を増やす(先生たちをワクワクさせる)
・情報収集(実践の共有)
・チームで取り組むモデルになる

寺平氏は上記のポイントを話され、「マネから」「専門家に頼る」ことについて特に話されていた。

「ユニ育」は生まれたての概念

最近クリエイティブな授業をしている人が増えてきた。そのメンバーで2019対話を開始するようになり、「体育」の単元名を変えるのはどうだろう?から、体育・教育「ユニ育」へ。ユニ育委員会の発足となった。

〔体育とユニ育の対比〕
体育        ユニ育
和         個
ヒエラルキー    スーパーフラット
意味の固定     意味の流動
尊守        散らかしていい
ゴール至上主義   プロセスも大事
カチッ       ヌルッ

このサミットをもって活動を開始。上記のような色んな実践をnoteで記事にしていく。

登壇した3名のそれぞれの実践は「ユニ育」な活動であり、「スポーツを創る」を自分たちも楽しんでいる事。見え透いた結末にならないような流動的なやり方が大事なのではないかと話された。

現在、スポーツによる「ビジネスにおける弊害」がある。既存のルールを崩せない、古いルールのせいで仕事の成果が出ない人が多いのではないか。うまくいっている人をみると、既存のルールを疑う・自分でルールメイキングしている人が増えているように感じる。「体育教育」は良いビジネス人材を育成するのにカギを握っているのではないか。上記の事から、「ユニ育」をおすすめしていると話された。

(水野 碧里)

セッション紹介

セッション名
「ユニ育」という、スポーツクリエイティブ教育のすすめ
セッション内容
2015年4月に発足した「世界ゆるスポーツ協会」。スポーツが苦手でも得意でも、だれでも楽しめるスポーツを90競技以上開発してきました。また、多くの学校で、「スポーツを作る」授業も行ってきました。その授業の名前は「ユニ育」。「個のユニークネスの開放」をテーマに、自分起点で、自分が活躍できるスポーツをつくります。この授業を通じて、個々のクリエイティビティが発揮され、自分というユニークな存在が発見されます。今回のセッションでは、このユニ育を、教育現場でも実践している先生方もお呼びし、そのノウハウを全公開します。是非一緒にユニ育を推進してくれませんか?
講師
澤田智洋氏 世界ゆるスポーツ協会代表理事
青井純子氏 横浜市スポーツ協会・横浜ゆるスポーツ協会
寺平依子氏 東京都立臨海青海特別支援学校

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