遊び心を解放しよう!「遊びと学び」の対話(全3回)−関戸博樹氏 今辻宏紀氏−レポート

未来の体育共創サミット2021で、関戸博樹氏(日本冒険遊び場づくり協会代表)に登壇いただき、「遊び心を解放しよう!「遊びと学び」の対話」というテーマで全3回のセッションが開催されました。以下、本セッションのコーディネーターを務めた今辻宏紀(横浜市立保土ケ谷小学校教諭)によるレポートです。

1.講義の概要

(1)セッション1「学びと遊び、内発的動機づけからの育ちについて」

日時:2021年1月16日(土)19時~21時
内容:「学び」と「遊び」の共通点、相違点を考えるセッション。国内や海外での遊び場づくりの実践紹介を通して真に子どもが育つ瞬間を大人が理解するための講座を行った。

○子どもはなぜ遊ぶのか?

  • 人類の成長戦略
  • 未熟であるということ、それは価値である
  • 後天的
  • 遊ぶということで人生を手作りする
  • 未知を知る欲=遊び
  • 必要な情報を得て、脳を発達させるための行動→遊び

○非認知能力と遊び

  • 自己肯定感、意欲、忍耐力、自制心、社会性、想像力・・・生きる力
  • 理性感情生命 認知脳と非認知脳 非認知脳:感情感覚→遊びで刺激
  • 大切なことは 自分で決めて自分でやる!
  • できるできないは年齢ではなく経験

○遊びと学びの融合

  • 主体はだれか? 放課後になると解き放たれる?
  • 遊ぶと遊ばせる
  • ドイツでは遊びは大人になるための準備
  • 遊び−教育−文化 等しく扱われている
  • 子どもには遊びへの権利がある
  • 誰もが遊びの主人公
  • より良い遊びの環境とは?

(2)セッション2「子どもの育ちに関わる大人の役割について」

日時:2021年1月20日(水)19時~21時
内容:子どもの内発的動機づけを可能にするために必要な大人の姿勢について、遊び場づくりの専門職が学ぶ「プレイワーク」のメソッドを知るための講座を行った。

○自身の子ども時代を振り返ろう

  • 遊びの思い出の中で大人からしてもらって嬉しかったことは?
  • また嫌だったことは?

○現代の遊び 環境社会背景

  • 大人の管理により空間や時間がない→ゲームで遊ぶ
  • 遊べないはもはや環境問題となっている

○邪魔するワーク寄り添うワーク

  • 対話の時間におけるワーク
  • 「邪魔するワーク」色々考えさせる 指示する 勝手に手伝う
  • 「寄り添うワーク」面白がる 付き合う 時に手伝う 見守る

○プレイワークから学ぶ大人の関わり方

  • 子どもの遊びに大人が介入するようになった時代 →自分が育ってきた経験の押し付け
  • 1980年代イギリス遊ぶを支える専門分野
  • 遊ぶ+生活を支えること

○遊びのレンズ

  • 大人、先生、子育て、医学、教育。社会規範
  • 色々なレンズを通して遊びや子どもを見ている

(3)セッション3「遊び心の解放」

日時:2021年1月24日(日)10時~12時
内容:子どもの内発的動機づけを引き出すには、大人自身が遊び心を解放した状態で関わることが重要である。ワークを通して自身の遊び心に気づき、解放することを体験するための講座を行った。

○ワーク「つくる」をやってみよう

  • 絵を描くということ 頭に乗せて利き手と逆に描くことで自由になる。
  • つくるで遊んでみよう(ワークショップ)
  • 「遊び心の解放」 自分の遊び心に向き合い、解放するワークを実施。

以下に記してある素材や道具などを使って「つくる」を体験した。
【素材】
段ボール、ペットボトル、トイレットペーパーやラップの芯、ガチャガチャの空きケース、新聞紙、緩衝材(プチプチ)、レジ袋、毛糸、布、ゴザなど。
【道具】
ハサミ、段ボールカッター、ボンド、マジック、ガムテープ、ビニールテープ、セロファンテープ、荷紐、輪ゴムなど。

○「遊び」と「遊びを大切にした活動」について

  • 子どもが自由に選び、自ら方向づけることで、本質的に自らの動機に基づく活動が「遊び」
  • 遊びを大切にしなが目的・ルール・方法・ゴールなどを大人が設定した上での活動が「遊びを大切にした活動」
  • 遊びを大人がアダルタレーションしない

2. 参加者の感想(アンケートより)

  • 体育の中身も遊びだと思いました。プレーパークで捉えられている「遊び」は、体育の運動遊びでも大いに重なるところがあります。プレーリーダーのように教師がいることで子どもの遊び・学び・授業が豊かになるのではと思いました。非常に有意義な時間になりました。ありがとうございます。
  • 遊びというテーマを通して、人間の本質に迫る大変学びの多い時間を過ごすことができました。文字通り、「遊び」を通した「学び」でした。ありがとうございました。
  • 遊びと学びの融合を遂行するには、「学校が」「地域が」「家庭が」の個別ではなくそれらが交わりながら進めていくものである。この関係性の説明をミュンヘンの例でしてくださったのがとてもわかりやすく良かったです。
  • 非認知能力について、自分なりに調べて出来るだけ家庭で活用したいと思い実践してきたつもりではありましたが、子供は好きなことをやり続ける、そこに大人の介入は必要ないとのお話には「私が決めた意図」に囚われすぎていた部分も大きく今後に生かせていけられればと思います。
  • 話と対話の時間が交互にあって、自分の中に落ちてくる感覚があり、とても良かったです。子どもの遊びの環境を考える中で、「大人の関わり方」がその環境を作るのだろうと、ブレイクアウトルームで話しがまとまってきて、次回のセッションが楽しみです。また評価についても「遊び」から考えると、本当にあるべき評価の在り方が問われると思いました。
  • 「遊びのプロ」は子供。僕らは「遊びの場作りのプロ」。このような価値観や概念は自分自身もっていたが、そのバックボーンとなるエビデンスや歴史を話してくださり、自分がまだまだ未熟であることを自覚すると共に、学びたい領域が広がった気がします!
  • 遊びは、子供の成長には欠かせないモノだと思っていました。この講座に参加して確固たるものになりました。遊ぶことで、人生を手作り出来るようになる‼️いい言葉ですね。遊びも、学習も、楽しくなくてはならない。と確信しました。ありがとうございました。
  • たくさんの人の考えに触れる機会があり,自分の見方が広がったように思います。また,明日からの授業に取り入れられそうなところは入れてみたいと思いました。そのうえで,話をまたしてみたいと思いました。そして,たくさんのバイタリティーあふれる人に出会えて,自分ももっと頑張りたいと思えるとてもよい機会でした!
  • 似顔絵を描いて遊び心とは。の気付きは、おもしろかったです。大人は遊びとはとか、遊び心とは。を理論的に考えがちでそれを押しつけてしまいがちになりますが子どもが今思っている遊び心は、その瞬間瞬間異なるのでその気持ちを感じ、大切に育みたいと感じました。学校教育現場だけではなく、未来の体育は、もっと多くのシチュエーションで関わって欲しいなと感じました。

3.感想

「遊び心を解放しよう!」とテーマに全3回のセッションが終わりました。まず始めに参加者の皆様と対話して感じたことは「遊びと学び」ついて興味関心のある方がこれだけたくさんいるという事実でした。3日間、遊びというテーマを通して、関戸さんを中心に人間の本質に迫る話を参加者の皆さんと共有できたこと。そして時間が経つたびに参加者の皆さんそれぞれに「遊びの概念、価値についての『観』が違うこと」が分かりました。そしてまた時間が経つたびに、参加者同士の人間関係の構築と共に「お互いの違いの理解」で対話が深まる瞬間がセッションの空間の中で少し垣間見えたことが個人的にとても面白かったです。関戸さんのコーディネートのもと、文字通り、皆での「遊び」を通した「学び」でした。このセッションをきっかけに、今後も多くの人と共に「遊びと学び」について対話を重ねていきたいと思いました。

(今辻宏紀)

セッション紹介

セッション名
遊び心を解放しよう!〜「学びと遊び」の対話〜(全3回)〜
セッション内容
(1)「学びと遊び、内発的動機づけからの育ちについて」
日時:1月16日(土)19時~21時
内容:「学び」と「遊び」の共通点、相違点を考えます。国内や海外での遊び場づくりの実践紹介を通して、真に子どもが育つ瞬間を大人が理解するための講座です。
(2)「子どもの育ちに関わる大人の役割について」
日時:1月20日(水)19時~21時
内容:子どもの内発的動機づけを可能にするために必要な大人の姿勢について、遊び場づくりの専門職が学ぶ「プレイワーク」のメソッドを知るための講座です。
(3)「遊び心の解放」
日時:1月24日(日)10時~12時
内容:子どもの内発的動機づけを引き出すには、大人自身が遊び心を解放した状態で関わることが重要です。ワークを通して自身の遊び心に気づき、解放することを体験するための講座です。
講師
関戸博樹氏
特定非営利活動法人 日本冒険遊び場づくり協会代表 フリーランスのプレイワーカー、プレイワーク・トレーナー1981年、東京都昭島市生まれ。埼玉県在住。大学で社会福祉を学ぶ中、冒険遊び場づくりの活動と出会い、「住民が子どもの遊び場について考え、活動することを通じて、自治の力が回復し地域が元気になっていく」ことに大きな魅力を感じる。04年にオープンした渋谷はるのおがわプレーパーク(東京都渋谷区)の常駐プレーリーダーとして8年間従事。現在はフリーランスのプレイワーカー、プレイワークのトレーナーとして冒険遊び場に限らず全国の子どもの遊び場づくりに関わり、コーディネートやスタッフ研修を行っている。3児の父でもあり、長男が1歳半から3歳半になるまでの2年間を主夫として過ごし、主夫としての経験を活かした親向け講座なども行っている。著書として「子どもの放課後にかかわる人のQ&A50」(学文社・共著)。Webメディア「Conobie」や「NHKくうねるあそぶ」などへのコラム寄稿、ベネッセ教育研究所の「あスコラ」で対談記事など。

今辻宏紀氏
神奈川県横浜市生まれ。
日本大学体育学部卒業 横浜市公立小学校教諭 一般社団法人未来の体育を構想するプロジェクト理事。様々な教育活動において、子ども一人ひとりのよりよい学びの在り方や学校の在り方を、日々実践研究しながら模索している。

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