〇セッション概要
動作学の3つの柱である、「知覚行為循環」「適応」「動的平衡」を基礎概念としている動作教育、その中でも今回は「知覚行為循環」を中心として登壇者から紹介をして頂きました。
私たち人間は「自分が体を動かしている」のではなく、予測のもと動かされているという原理原則。入力ベースで予測の元、行為行動(出力)を積み重ねている。予測ができれば行動ができる(予測ができなければ守りに入る、または危険や「まさか!」に合う確率が高くなる。)。
予測し、実際の動作を体験、動きのエラーを修正、エラーが最小になるまで繰り替えすことによって、安心安全の枠組みを広げて行くことができる。その点で、体育を「感覚に軸をシフト」、感覚から得たものを環境に適応する形にしていく、その時間をしっかりと取る事、一緒に考え、一緒に行動して行く教員の在り方も考えさせられる時間となった。
〇参加者の声(事後アンケート・セッション中の発言より)
子どもたちの運動経験の乏しさだけでなく、体の感覚や心のきづきを言葉で表現できないことにも危機感を感じています。実際に自分の体を上手く使えているかどうか、痛みをどう感じたり解消させたりしているのか、が健康問題につながっていくとあたらめて考える時間になりました。「体育」では、評価や指導法も気にしないといけないですが、全ての学びのベースにある「体育」を学校から消さないように、私たちが伝え広めていかなくちゃ、と思います。
感覚運動教育を通した人間形成という考え方に深く共鳴しました。
〇セッションを終えて
未来の体育は、「将来的な心身の健康への対応に必要な基礎情報を学び、長寿社会における心身の豊かさの獲得のための多様な感覚運動経験をする」と捉えると、結果、現代の心身の健康問題は改善するのではないか、そしてまさに生涯の健康の土台となる体育の実践となるのではないかと感じました。
今回頂いた概念を、実際に体育でどう活用するか、その事によってどのような変化が起きたのか、現場の先生方と共に引き続き共有することが出来れば、「体育」の役割や在り方が少しづつ変わっていくのではと感じました。
(三井貴美子)
〇セッション紹介
現代社会の健康問題から考える未来の体育の在り方
体育における運動経験や身体活動の経験は、将来、社会にでた時のふるまいや行動、生活、活動の源泉となる。それはなぜか。人は予測し、脳からの指令により行動を起こし、予測とのズレを修正しながらその環境に適した行動を積み重ねていきます。
人間らしさ、私らしさを作り出す動作教育の考え方を、みなさんと共有させて頂きます。
山本邦子氏 博士(保健学)、ATC、GCFP動作教育探究者