特別支援学級・特別支援学校の体育のこれから-竹尾浩輔氏-レポート

未来の体育共創サミット2021にて、竹尾浩輔氏(熊本市立碩台小学校 特別支援学級担任)に登壇いただき、セッション「特別支援学級・特別支援学校の体育のこれから」が行われました。以下、講師である竹尾浩輔氏によるレポートです。

1. セッション概要

①そもそも楽しい体育とは?

本セッションは、全ての子どもたちが「楽しい」と実感できる体育を展開するために、関わる大人がどうすればいいのかを考えるための場であった。

②実際の体育はどのように展開しているのか?

「個々の実態に合った」という点を踏まえると、「本人がどの程度の運動能力があるのか」や「どの程度まではできるのか」を総合的に判断するしかない。しかし、実態ありきの体育を考えると、個々の力を伸ばすだけの訓練的な体育になってしまう可能性もある。実際に冬の寒い時期は持久走に取り組むが、ただ走るだけで楽しみを見出せないと気持ちはどんどん持久走から離れていってしまう。「耐える体育」になってはならないが、実際にそのような体育を展開している場面がある。

また、私が勤務する自治体の特別支援に関わる教員にアンケートを実施し、その結果を踏まえながら実際に困っていることを見てみた。私は学習内容や体の動かし方が課題に上がってくると考えていたが、実際は複数学年を担任するので教員が足りないことや教室や体育館などの運動をする環境が狭い、足りないなどが課題で上がってきた。

③これからの体育に求められるものは?

「楽しい」を実感したことで運動を楽しむ子どもが成長し、運動を少しでも楽しめる「大人」を増やしていくことが大切である。学校生活よりもその後の生活の方が圧倒的に長い。「耐える体育」で終わらせてしまうと運動から離れたままになってしまう。障害の有無に関わらず、誰でも運動することを「楽しい」と感じることは大切な要素である。まずは体育の中で「楽しい」を実感できるようにすることがこれから求められる体育の姿である。

2. 参加者との話し合いの概要

小中学校教員、特別支援学校教員、大学教員、放課後等デイサービス職員など様々な立場の方々とグループトークを展開することができた。

学習指導要領という枠だけでなく、色々なことにチャレンジさせることも大切。子どもの微かなサインを見逃さないことがヒントになる。何を教えるかではなく、どう教えていくかが重要である。

3. 参加者アンケート

・3回のグループワークがとてもよかったと思います。少人数でどんどん意見を出し合うと自分の認識と他の人の認識の違いが確認できたり,共有できたりしました。

・グループトークで様々な校種の方々と話ができてとても楽しかったです。今回の集まりをきっかけに色々と情報交換ができればいいなと思います。

・特支の先生方が体育に関してどんなことを考えていらっしゃるのかが少しわかり勉強になりました。特支の体育は生活での自立に直結していて切実な課題のひとつと意識されているようですが、これはいわゆる普通学校の体育にとっても隠れた課題のはずだと改めて確認しました。

4. 感想

今回、特別支援の体育を考える場があったことはとても嬉しく思います。体育で「できる」を子どもたちは自然と求めてしまうます。運動が得意な子にとってはそれでもいいですが、どの子も同じではないのでできなくて悩んだり、嫌いになったりする子も出てきます。特に特別支援学級や特別支援学校対象の児童生徒だと好き嫌いもはっきりすると思います。失敗してしまったからもう絶対にしない、きついだけだから耐えるなどの意識を持たせてしまってはいけません。今回のセッションでは、様々な視点の方々と話すことで、教師や支援者がどんな意識で体育や運動を考えていかなければいけないのかが少し見えてきたと思います。特別支援学級、特別支援学校の体育はこれからの体育を考えていく上で欠かせないのではないかと改めて感じる時間でした。

(竹尾浩輔)

セッション紹介

セッション名
特別支援学級・特別支援学校の体育のこれから
セッション内容
体育で「楽しい!」と感じる場面はたくさんあると思います。でも中には「動きは分かるけどどうするの?」「少しなら動きが分かるな」など楽しいと感じる場面が少なく、苦手意識をもつ子もいます。特別支援学級、特別支援学校には特にそのような子どもたちが多くいます。また、こんな内容をしたいけど実態が合わないかも、難しいかも…など悩んでいる先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。これから求められる体育を一緒に考えてみませんか?
講師

竹尾浩輔氏
熊本市立碩台小学校 特別支援学級担任。特別支援学校を担任していると体育に苦手意識を感じている子に多く出会ってきました。理由を聞くと「足が遅いから」「できないから」などと様々でした。また、知的障害を伴うと「ルールがわからない」「複雑な動きが難しい」など別の悩みが出てきます。多くの子どもたちが「楽しい」と感じることができる体育を目指していきたいです。

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