「目先の結果より子どもの成長を優先する指導」の理想と現実を考える 阪長友仁氏―レポート

〇セッション概要

まずは阪長さんから、日本とドミニカ共和国の野球の違い(何を目指すか、指導者、指導者の評価、試合形式、投手起用、道具、指導者と選手の関係性)を例に、スポーツ指導の在り方についてのお考えを伺いました。そして、現在チャレンジされていること(堺ビッグボーイズでの活動、高校野球リーグ戦、低反発バット、スポーツマンシップを学ぶ等)をご紹介いただき、参加者がそれぞれの現場でできることを考えるきっかけをいただきました。

最後に、「協力して挑戦する、失敗を恐れず勇気をもって行動する、アイデアを出す、誰もやっていないことをやろうとするといった人材がこれから必要とされる。『こうやったら勝てる』という絶対的な正解がないスポーツだから、スポーツを通してそういった人材を育てられるのではないか。今の教育で本当に必要な教育ができるのか。」という問いかけをいただきました。一度立ち止まって今の取り組みについて考えさせられるお話でした。

質疑では、「これは許さないよということをどのように伝えているのか」や「何をしても勝ちたいという子と楽しくできればよいという子が同じチームにいた場合どうやってバランスをとるのか」など具体的な指導場面での難しさについて意見交換することができました。

〇参加者の声(事後アンケートより)

・日本とドミニカのスポーツシステムについて考えさせられました。全国大会はなくていいと改めて確認できました。

・種目は違いますが、子どもたちのために何かできればいいなと感じました。

・講演の全てがとても有意義でした。ドミニカとの比較は大変興味深く、指導者と選手は対等にリスペクトし合えているのか?明日からの生徒とのかかわり方に活かしていきたいと思う。

・堺ビッグボーイズ(そしてOBである筒香選手)には注目していたので、今回お話を聞くことができたのは、とにかくとても有意義でした!

〇セッションを終えて

 野球界での活動のお話でしたが、他の種目や教育そのものに大いに通じる部分がありました。日頃、部活動を指導していて、「理想を言えばこうだ。そうはいっても現実は・・・」と思ったことが何度もあります。絶対的な正解があるわけではないですが、阪長さんや参加者の皆さんのお考えや取り組みを参考にしながら、自分でも試行錯誤していきたいと思いました。こうした場で、様々な取り組みを知ったり、情報交換したりして、今後も皆さんと一緒に考えていけると良いなと感じています。

〇セッション紹介

「目先の結果より子どもの成長を優先する指導」の理想と現実を考える

地域のスポーツクラブや部活動において、結果を出そうとして子どもたちに無理をさせてしまうケースがある。結果を優先して子どもたちの今や未来を壊してしまうことは絶対にあってはならない。しかし、「目先の結果より子どもの成長を優先する」といっても、子どもの成長とは何を指すのか?勝つことは成長に必要ではないか?結果を求めないスポーツは楽しいのか?子どもや保護者、地域はそれを求めているのか?…理想と現実の間で悩んだことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 指導者の指導観、指導者と選手の関係性、保護者や地域の期待、クラブのポリシー、チームの雰囲気、練習時間・内容、大会の仕組み、サポート体制、指導者に対する評価の基準、メディアなど、様々な角度からスポーツ指導の在り方を一緒に考えましょう!

阪長友仁氏(堺ビッグボーイズ中学部監督、NPO法人BBフューチャー理事長)