健康管理、生活習慣病から考える well being 池川茂樹氏(上越教育⼤学⼤学院教授)―レポート

〇セッション概要

様々なデータから⼈間の健康についての分析をし、これまでの研究によって明らかになっていることをわかりやすく伝えていただいた。
・累積積雪量と冬季の医療費が相関関係にある。
・「⽣活習慣病指標」が⾼い数値(=不健康)な⼈ほど、VO2peak(最⼤酸素摂取量)が低い。
・体⼒と医療費の相反するデータ。
・運動不⾜が引き起こす、慢性的な炎症が⽣活習慣病につながる。
・体⼒が低下することで、熱中症にもなりやすくなること。さらには感染症にもかかりやすくなってしまうこと。
・息があがるくらいの強度の運動を1週間に 60 分以上⾏うことで体⼒の向上が図れること。(1⽇ 1 万歩では効果はない!)また、そのためにはインターバル速歩がおすすめであること。(最⼤体⼒の 70%)
・つまり、well being の維持、向上には運動はかかせないこと。
・さらに、運動直後に糖質・タンパク質を含むものを摂取することで⾎液量が増え、熱中症予防にもつながること。
以上のことについて、データを元にお話していただき、必要に応じて参加者の質問に対応し、最後には参加者全員での対話も⾏った。

〇セッションを終えて

 ⾷事は 1 ⽇ 3 ⾷、栄養のバランスよく、カロリーはどれくらいでということが⾔われている。
睡眠も 1 ⽇ 7~8 時間がよいと⾔われている。ところが運動については具体的に「どれほどしましょう」という数値的なものがないのが現状だ。やはり具体的な数値なしに、何かに取り組むということは⼈間にとっては難しい。「1 ⽇ 1 万歩」ということが⾔われて久しいが、そもそも何を根拠に 1 万歩なのか、本当に効果があるのか…それに対して運動⽣理学的なデータに基づいた研究によると、軽く息が上がる程度の強度の運動を 1 週間に 60 分以上⾏うことが⼤切だということがよくわかったと思う。さらに、運動不⾜に陥ることで多くの病気を引き起こしやすくなるメカニズムも解説していただいた。よりよい体の状態を保つためにはやはり運動は⽋かせないものだと思う。もちろん、⽣活習慣病以外にも運動することで健康な状態を保つことにつながるということを再認識することができた。
(伊藤 創)

〇セッション紹介

健康管理、⽣活習慣病から考える well being
みなさんは「健康」というと何をイメージされ、そのためにどんなことをされていますか?様々なデータから、「健康」と well being について考えたいと思います。
池川茂樹⽒ (上越教育⼤学⼤学院教授)

最近の記事

  1. 「主体性」という名の脅迫 井本陽久氏・坂入亮太氏-レポート

  2. 「教育現場に於ける『消費者と生産者』〜里山自然/教育現場の実践から、行動変容(意識転換)の可能性を考える」 レポートー中川隆義氏(ままmaioka/横浜をつなげる30人、銀行員30年からベンチャー企業へ) 山本尚毅氏(北陸先端科学技術大学院大学修士課程、教育企業勤務)

  3. 「あそび」で「学び」をアップデート!〜一般社団法人「あそび庁」の取り組みから〜  小山亮二氏(一般社団法人あそび庁代表理事)久保賢太郎氏(東京学芸大学附属世田谷小学校/東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程)―レポート

  4. 日本フェンシング躍進の舞台裏から学ぶ「チルドレン・フューチャー・ファースト」 宮脇信介氏―レポート

  5. 体育授業のマインドセット〜体育の苦手な先生も子どもも楽しめる体育授業にするために~白根稔彦氏―レポート