「なまはげ」って知っています?―レポート

〇セッション概要
国の重要無形民俗文化財ならびに、ユネスコの無形文化遺産である「なまはげ」。
秋田県男鹿市の伝統ある「なまはげ」は、大晦日の夜に各家を回ります。子どもたちにとって、「悪い子いね〜ぇが」とやってくる怖い存在、それは地域にとってどんな存在なのか考えました。
 「なまはげ」とは、鬼ではありません。
寒い冬、仕事や勉強もまったくせず、囲炉裏のそばでじっと火にあたっているだけだと「なもみ」という赤い斑点ができ、それはなまけものの証拠。それを「はぎとる」。つまり、なもみ(怠け心)をはぎとるのが、「なまはげ」。神さまのような存在で、地区では「なまはげさん」と呼ばれるところもあります。
 大晦日の夜に訪れ、「おめえはココが足りていないらしいな」と、親から事前に聞いた、子どもに「こうなってほしい」という、親の願いを子どもに告げます。子どもは形相の怖さとともに、ピンポントに自分のことを言い当てられ、本当になまはげが「いつも自分のことを見ているのでは?」と驚きます。また、来年良い年になるよう厄祓いや願掛けもする、子どもを脅かすだけの存在では決してないのです。

「男鹿ではこうして『来年まではきちんとします』となまはげと約束するからか(笑)、秋田県は学力が高いデーターもあります。とはいえ、私も子供の頃は怖かったですね・・」と、秋田県男鹿市出身の伊藤さん。

「男鹿で育ち、慣れ親しんだこの伝統は守るべきものだと思い、いまは実行委員会長となって、日々を積み重ねています。日頃の地域でのコミュニケーションが実は大事」と、男鹿市大倉なまはげ実行委員会会長の吉田さん。

「なまはげは、伴走する家庭教育アドバイザーだとおもい、福岡から『なまはげ伝道師」の資格をとりに行った。一本の木から手掘した本物の面を権威ある職人から譲り受けた 」と、なまはげ伝道師の太刀山さん。

〇参加者の声(事後アンケートより)
・なまはげの種類や地区間での違いなどなまはげについて知ることができました。秋田に行きたくなりましたが、まずは銀座(なまはげ居酒屋)でなまはげにお会いしたいと思いました。
・なまはげは鬼だと思っていました。その意味を知り、実はあったかい日本の伝統だと知りました。

〇セッションを終えて 
実行委員の吉田さんの話では、なまはげは町内の男性が担当し、日頃から地域の草刈りや、消防団などで、受け入れ側の家とコミュニケーションをはかり、家や子供の様子などを聞き、親が普段から子供に言っていること、困っていることをなまはげが伝えるとのこと。
まさに家庭教育アドバイザーであると感じました。
しかしながら、なまはげのなり手の減少や、材料の稲の藁も手に入らなくなったことなどが、今後の問題となっているそうです。感染予防に配慮した訪問の仕方を工夫されている事も聞きながら、残したい地域の伝統の大切さであると確信しました。

(太刀山美樹)

〇セッション紹介

タイトル:「なまはげ」って知っています? 

国の重要無形民俗文化財ならびに、ユネスコの無形文化遺産である「なまはげ」。そもそも、「なまはげ」って何か調べてみませんか?

伊藤創 氏
・横浜市立小学校教諭
・秋田県男鹿市出身
吉田和仁 氏
・秋田県男鹿市大倉なまはげ実行委員会会長
太刀山美樹 氏
・なはまげ伝道師
・ミキファニット代表取締役