未来の体育共創サミット2021開催レポート

一般社団法人未来の体育を構想するプロジェクトは、2021年1月16日から24日まで9日間、オンライン上にて、未来の体育共創サミット2021を開催しました。以下、本サミットの概要を報告します。

1.概要

名称:未来の体育共創サミット2021
日時:2021年1月16日(土)~24日(日)(9日間)
場所:オンライン上で行います(ビデオ会議システムzoom)
内容:未来の体育に関する多様なセッション
対象:小中高大の体育の先生、スポーツ関係者、体育スポーツに関する行政関係者、 運動に関する医療福祉者、大学生・中高生、そのほか未来の体育に関心がある方
料金: 一 般:9日券:2500円 /7日券 :1500円
    大学生:9日券:1000円(50名)
    高校生:9日券:無料(30名限定)
主催:一般社団法人未来の体育を構想するプロジェクト
協賛:学校法人河合塾
   ソニービジネスソリューション株式会社
   株式会社みずほ銀行
協力:一般社団法人 運動会協会
   NPO法人judo3.0
   一般社団法人世界ゆるスポーツ協会
   一般社団法人 超人スポーツ協会 
   公益財団法人横浜市スポーツ協会
後援:一般社団法人超教育協会
特設サイト

2.ご参加者

本サミットは246名の皆様にご参加いただきました。セッションは30個あり、セッションに参加した人数はのべ1321名となります。

参加者の内訳をみると、国内33の都道府県と海外1か国(米国)から参加いただいており、

①小学校、中学校、高校、大学、特別支援学校、専門学校などの教員が128名(52%)、
②地方公共団体や株式会社、NPO法人や一般社団法人、福祉職やフリーランスなど教員以外の関係者が85名(35%)、
③中学生と高校生、大学生が33名(13%)となっています。

学校と地域と生徒が、立場や地域を超えて出会い、学び合う場となりました。

3.内容

セッションは、以下の通り、28テーマ、30個のセッションが開催されました。レポートがあるセッションもございます(リンクをクリックください)。

テクノロジー
1 「AI時代の体育を構想しよう」小宮山利恵子氏 スタディサプリ教育AI研究所所長
2 「テクノロジー×スポーツの可能性〜未来の体育の輪郭を探る〜」久保賢太郎氏 東京学芸大学附属世田谷小学
3 「ICTを活用して運動のおもしろさを拡張させよう!」永末大輔氏 千葉大学教育学部附属小学校 谷川侑佳子氏 ソニービジネスソリューション株式会社経営企画部
教科体育
4 「これからの教科体育を構想するために」有山篤利氏 追手門学院大学社会学部教授
5 「こんなこといいな、できたらいいな、中学校の保健体育の世界」佐藤彩弥氏 埼玉県所沢市立三ケ島中学校教諭
6 「高校保体の明日を考えよう。 -これから求められる保体人とは?- 」藤原亮治氏 筑波大学附属坂戸高等学校 保健体育科 主任教諭
部活
7 「部活動はどこへ行く」有山篤利氏 追手門学院大学社会学部教授
8 「ドイツの学校にはなぜ「部活」がないのか?」高松平藏氏 ドイツ在住ジャーナリスト
特別支援・発達障害
9 「医師に聞く!発達障害を運動・ストレス・食事から診る理由」積田綾子氏 小児科専門医・リハビリ科医
10 「特別支援学級・特別支援学校の体育のこれから」竹尾 浩輔氏 熊本市立碩台小学校 特別支援学級担任
11 「多動傾向、自閉傾向のある子どもたちへの運動でのアプローチ方法について」太刀山美樹氏 MIKI・ファニット代表
12 「「スポーツ」は発達障害に対して何ができるか?」浦井重信氏 少年柔道クラブ指導者&一般社団法人児童基礎体力育成協会代表理事 酒井泰葉氏 日本障がい者スイミング協会代表 杉岡英明氏 日本発達支援サッカー協会代表理事

13 「性の多様性とスポーツ」友近 萌美氏 サッカー選手
14 「“教室”での安全な “性” の “対話” は可能なのか?」安本志帆氏 みんなのてつがくCLAFA代表
幼児・小学生
15 「運動遊びで保幼小接続!~幼児期の運動遊びから小学校体育をリデザインする~」堀内亮輔氏 保育士・運動保育プレイリーダー 大野大輔氏 東京都北区立赤羽小学校
16 「地域のスポーツのこれから -教員から転身して道場を起業&勝つことを一旦止める-」綾川浩史氏 文武一道塾 咲柔館 館長 長野敏秀氏 ユニバーサル柔道アカデミー代表
スポーツ
17 「サッカーとはどんなスポーツなのか -ゲームにつながる技術・戦術-」酒本勝太氏 ジェフユナイテッド市原・千葉アカデミーU 13コーチ
18 「アスリートのキャリア」中路 実咲氏 元バスケットボールジュニア指導員
19 「これからの柔道の話をしよう」酒井重義氏 NPO法人judo3.0
20 「「ユニ育」という、スポーツクリエイティブ教育のすすめ」澤田智洋氏 世界ゆるスポーツ協会代表理事 青井純子氏 横浜市スポーツ協会・横浜ゆるスポーツ協会 寺平依子氏 東京都立臨海青海特別支援学校
遊び
21 「 遊び心を解放しよう!〜「学びと遊び」の対話〜」全3回 関戸博樹氏 日本冒険遊び場づくり協会代表 今辻宏紀氏 横浜市公立小学校教諭
22「「遊び」は未来の体育をつくるのか?-「遊び」を学ぶ講座を作る理由-」酒本絵梨子氏 自由学園最高学部准教授 神谷潤氏 お茶の水女子大学附属小学校教諭
23 「対話で遊ぶ J.Y Parkと体育」玉置 哲也氏( 横浜市立白幡小学校.)
学校/未来
24 「学校の「壁」を当事者研究する〜体育から学校改造計画〜」松下祐樹氏 埼玉県立吉川美南高校保健体育科教諭 安本志帆氏 みんなのてつがくCLAFA代表
25 「学校×企業でつくる、より豊かなスポーツライフ」小林浩平氏 株式会社ウェルネスフロンティア(スポーツクラブJOYFIT) 元中学校保健体育科教諭  松本大輔氏 西九州大学子ども学部子ども学科准教授
26「今後の教育者に求められること」鈴木良介氏 NowDo株式会社 取締役副社長兼COO
27 「「未来」という学びを構想する人たちと一緒に「未来」について考えよう!!」山本尚毅氏 河合塾 中川 隆義氏 株式会社みずほ銀行名古屋中央法人部部長
28「ワールドカフェ 私が想う未来の体育」

その他

【動画報告】お寺とスポーツづくり-コロナ禍での実践報告とこれから- 水野碧里氏

4.動画での視聴

主催者である一般社団法人未来の体育を構想するプロジェクトの会員の皆さまは各セッションの講師の講義の動画を視聴することができます。もしよろしければ当団体への入会をご検討いただけたら幸いです。動画の視聴方法はこちらをご覧ください。

5.ご参加者の感想

セッションごとに参加者にアンケートを依頼させていただき、セッションについての評価や感想をいただきました。のべ208名から回答をいただき、セッションの5段階で評価したときの合計は以下の通りです。

とてもよかった
5 166件(80%)
4  36件(17%)
3   6件( 3%)
2   0件( 0%)
1   0件( 0%)
よくない

また、サミット全体については以下のような感想をいただきました。

  • 「多くの皆様とつながれること、考えられる場があり楽しかったです」民間企業 女性
  • 「さまざまな見方や考えに触れる機会があって,自分の幅が広がったと感じた」教員 男性
  • 「様々なテーマがあり、「耳だけ」という参加もあり、平日夜など家庭のことをしながらお話を聞けたことがよかった」教員 女性
  • 「参加者皆さんが未来を考えていて、それに向かってどう一歩を踏み出そうかと模索し、参加することで新しい方法がどんどん広がっていく素晴らしい会だったと思いました」 女性
  • 「いろんな人たちと体育のことについて語ることができてとても良かったです。体育について話し合う機会は職場ではなかなかないので、とっても学びになりました。これから予測不可能の時代を生きる子供たちが、自ら考えて、生き生きと過ごしていけるように、教師として何ができるのか、どんな授業ができるのか学び続けていきたいと思いました」教員 女性
  • 「新たな知識の出会いができた。学びが深まった」大学生 女性
  • 「参加者同士で話せる機会が多かったことがよかった」 高校生 男性
  • 「異業種の方々と忌憚なく意見や情報の交換が出来たことがよかった」 一般社団法人 男性
  • 「みなさん前のめりだったことがよかった」福祉医療機関 女性
  • 「今まで考えたことがないことを考えるいい機会だった」高校生 男性
  • 「さまざまなの分野のセッションがあったこと、Zoomでの開催によって、気軽にセッションに参加できたことがよかった」大学生 女性
  • 「「体育」という枠を超えて、学びや教育という概念について本気で考えられた。参加者の皆さんが、行動につなげたいという思いがあった。学校の先生に限られない開かれた場だった。繋がりを自己満にせず可能性にもつなげようとする意図を感じた。哲学に基づく理論なども触れることができた。とにかく世界が広がりました!!」 元教員 男性
  • 「お話を聞くことしかできませんでしたが、教育の最先端に触れられたような気がしました 自分の考えや経験をどんどんアップデートしていきたいという意欲につながりました」 教員 男性
  • 「たくさんの方の意見を聞くことが出来たことは、最近の中では1番良かったです」 スポーツ指導者 女性

6.運営上の特長

  1. 「9日間オンライン」:昨年のサミットは東京で1日間の開催でしたが、コロナ禍であることを受け、オンラインの特性を最大限活かしたサミットとは何かを話し合い、9日間としました。これにより参加者が参加できるセッションの数が飛躍的に増え(仮に1日に30セッションを開催した場合、一人の参加者が実際に参加できるセッションは少なくなる)、また、対話は日を重ねるにつれて深さや広がりを増していきました。
  2. 「対話を重視1」:各セッションは1.5時間ですが、多くのセッションで、講師のお話の後、小グループに分かれての対話(ビデオ会議zoomのブレイクアウトルーム)や講師と参加者との質疑応答が行われました。
  3. 「対話を重視2」:サミット期間中、毎晩、セッション後に希望者が残って、教員、ビジネスマン、学生など、多様な立場の人々がフランクに話し合いをしていました。講師と参加者が一緒になって次のアクションを考えたり、悩みや課題を共有したり、新しい企画を話し合うなどが行われました。
  4. 「個別の事情に配慮」:対話を重視していましたが、諸事情で話せる状況でなかったり、ただ講師の話を聞くだけでいいという場合はラジオを聞くような感じでセッションに参加いただき(ビデオ会議zoomのビデオをオフにして聞くだけの参加)、小グループに分かれて対話する際もその話し合いをきくだけで参加できるようにするなど、オンラインの特性を生かしてそれぞれのご事情に応じてご参加いただきました。

7.最後に

「未来の体育」に想いを馳せる人々が地域や立場を超えて出会い、共鳴すると、化学反応が起こって「未来の体育」の何かが生まれると信じて、運営チームは本サミットの準備をしてきましたが、各セッションでの講師の皆様の知見と情熱、そして参加者の皆様の対話の豊かさと熱量に圧倒された9日間でした。そして、ご参加者の皆様同士で「また会いましたね」という出会いがたくさんあったことも本サミットの特長だったと思います。至らない点が多々あったかと思いますが、ご参加者の皆様、関係者の皆様のご協力のおかげで本サミットを開催することができました。本サミットに関わる皆様のご協力に心から感謝申し上げます。

酒井重義
未来の体育共創サミット2021運営チームリーダー